脱臭装置のお役立ち情報
①脱臭装置の脱臭効果について
・脱臭をするのはいいけれども、どれくらい臭気が落ちるのか?
・どのような判断基準で臭気を評価するのか?
は必ずお客様から質問される項目です。
◆臭気を評価する方法として、
①成分濃度測定 ②臭気濃度測定、③6段階臭気強度表示法、④快・不快度表示法、⑤においセンサーによる測定等があります。
①成分濃度測定
化学的な測定の為、臭気成分のデータとしては正確ですが、臭気成分が複数集まると、人間の鼻の感覚で臭気が強く感じられたり、元の成分とは似ても似つかないまったく別の臭気に感じられる場合もあり、人間の感覚とリンクしない場面も出てきます。
ガスクロマトグラフィ
②臭気濃度表示法
臭気濃度とは、「無臭の清浄な空気で希釈したとき、ちょうど無臭に至るまでに要した希釈倍数」と定義されています。臭気濃度1,000とは、その臭気を無臭の清浄な空気で1,000倍に希釈すると臭気が無臭になる事を意味します。
また、人間の嗅覚の感覚量に対応した尺度として、臭気指数という尺度があります。これは臭気濃度の常用対数を10倍した値で表します。
臭気指数=10×log臭気濃度で変換する事ができ、
臭気濃度1,000=臭気指数30となります。
臭気濃度と臭気指数の関係は非常に紛らわしく、
例えば、
臭気濃度1,000の臭いがあるお部屋の脱臭を行って、脱臭後に臭気濃度が100になったとします。
脱臭効率としては90%脱臭できた事になり、私としては大喜びですが、人間の感覚では、臭気指数30が臭気指数20になっただけで、感覚としては33%減としか感じられないという事になるのです。
③6段階臭気強度表示法
- 0:無臭
- 1:やっと感知できるにおい(検知閾値)
- 2:何のにおいであるかわかる弱いにおい(認知閾値)
- 3:楽に感知できるにおい
- 4:強いにおい
- 5:強烈なにおい
人間の嗅覚を用いて、6段階で臭気を評価する基準です。人間の嗅覚を用いているので、臭いの強さをその場で表現したい時に便利な評価基準です。
④快・不快度表示法
- 極端に不快:-4
- 非常に不快:-3
- 不快:-2
- やや不快:-1
- 快でも不快でもない:0
- やや快:1
- 快:2
- 非常に快:3
- 極端に快:4
臭いの快・不快の程度を評価する表示方法で、補助的に用いられます。
悪臭の臭気対策を行う弊社では、-4~0の表示ばかり使用して1~4の「快」の領域はあまり使いません。
⑤においセンサーによる測定
例えば外気を数値で100としたら、
室内A・・・160 室内B・・・250 室内C・・・410
と数値で比較する事ができます。
ただし、センサーなので人間の嗅覚とリンクしない場合もあり、人間の嗅覚では感じ取れない臭いがセンサーでは大きな数値としてでたり、その逆もまたしかりです。
においセンサー
◆脱臭効率
脱臭効果は脱臭効率によって数値化されます。脱臭効率とは、実際にどの程度臭気が低減したかを測定する方法となります。弊社での測定方法は主に臭気濃度による脱臭効率を算出しております。
脱臭効率の算出方法は、脱臭装置の入口側と出口側で臭気をサンプリングし、臭気濃度を算出します。
入口側と出口側の臭気濃度の差が脱臭効率となります。
(入口側臭気濃度-出口側臭気濃度)/入口側臭気濃度=脱臭効率
例:入口側臭気濃度1000→出口側臭気濃度100=脱臭効率90%
◆消臭剤の使用方法
消臭剤を有効に使用するには、臭気と高効率で接触させる脱臭装置が必要となります。
消臭剤がいかに優れていても、臭気と接触しなければ効果は上がりません。
例:100%の消臭効果のある消臭剤と50%の気液接触を持つ脱臭装置の場合
100%の消臭剤×50%の気液接触=50%の脱臭効果
どんなに優れた消臭剤でも臭気と接触させなければ効果を上げることが出来ません。
逆に高効率で接触させる脱臭装置を使用しても消臭剤の効果が低ければ脱臭効果を上げることが出来ません。
高い脱臭効果を上げるには、高効率で接触する脱臭装置と、効果の高い消臭剤の選定が必要となります。
◆臭気の種類毎の特性
人間の嗅覚で「におい」として感じる臭気物質は40万種類以上あると言われておりますが、「におい」を種類分けすると大きく3つの種類に分けられます。
- ・窒素系臭気(N系臭気)・・・アンモニア、トリメチルアミンなど
- ・硫黄系臭気(S系臭気)・・・硫化水素、メチルメルカプタンなど
- ・炭素系臭気(C系臭気)・・・トルエン、キシレン、アルデヒド類など
酸化分解され易い物質、水に溶けやすい物質、中和反応可能な物質など、各臭気において、様々な特性があります。
臭気の原因物質の特定が出来れば、その物質に合う最適な脱臭方法を模索することが可能となります。
工場排気などの臭気は基本的に複合状態で存在しており、様々な物質が混合された状態で存在することが多い為、一つの物質だけに焦点をあてて対策しても効果が発揮されない場合もあります。
しかし、大まかな対策措置の一つとして対象臭気の特定を行い、その物質に有効な脱臭装置の選定を行う事も一つの方式となります。
②脱臭装置のメンテナンスについて
メンテナンスを行わないで装置を使用していると、脱臭性能は徐々に低下していきます。そればかりか装置内に付着した臭いを処理ガスに付臭させてしまい、装置の入口側と出口側で臭気濃度が逆転してしまって、悪臭をばらまく装置になってしまった!なんて事も起こります。どんなに高価な脱臭装置を入れていても、当初の性能を維持する為にはメンテナンスが大切です。
例えば、産業工場向けのハイブリッドスクラバー®システムの場合、
日常のメンテナンスは特に必要としていませんが、使用していると内部に粉塵等が蓄積していきますので、定期的なメンテナンスでは装置内の清掃等が必要です。
当初の性能≒綺麗な状態という事ですので、徹底的に清掃を行います。
また、脱臭装置の核となるスプレーノズルに関してもしっかりと噴霧ができているか状態を確認していきます。
その他、吸引ファン・オゾン発生機・スプレーシステム等の付帯設備関係も正常に作動しているかどうかの確認を行っていきます。
弊社で販売している厨房排気装置「ゼオガイア」の場合、
ゼオガイアは3段のフィルター(通常仕様)がユニット内に入っており、一般的な厨房排気臭気であれば、3年毎に1段目のフィルターを交換していきます。
その他、排気風量が設計値通りに出ているか測定を行ったり、装置の入口・出口で圧力損失測定を行い、フィルターに目詰まりがないかどうか確認をします。
脱臭装置がどの程度脱臭できているか確かめたいようであれば、装置の出入口側で臭気濃度測定を行う事で性能の確認ができます。
また、臭気対策コンサルテーションを一緒にご依頼を頂ければ、実際の運用状況での脱臭性能の把握や、臭気がどの程度飛散してしまっているのか検証を行う事で、よりよい装置運用のご提案をさせて頂くことも可能です。
臭気対策でご相談があれば、お気軽に弊社まで御問合わせください。
③脱臭装置のランニングコストについて
脱臭装置に係るランニングコストは様々ですが、大きく分けて3種類になります。
1)消耗品によるランニングコスト
- *湿式脱臭装置・・・水、消臭剤等
- *活性炭脱臭装置・・・活性炭
- *燃焼式脱臭装置・・・燃料(LPG、化石燃料など)、蓄熱式は蓄熱体、触媒式は触媒
消耗品によるランニングコストは投入量が多いほど脱臭性能が上がる傾向があります。
但し、各臭気や条件に合わせて適正な使用方法で運用しなければ無駄なコストをかけてしまう可能性が高くなります。
事前に検証テストや運用時に様々な条件下で計測し、正しい運用方法を模索することを推奨します。
2)廃棄処理及び産廃処理によるランニングコスト
- *湿式脱臭装置・・・排水処理費用
- *活性炭脱臭装置・・・活性炭処理費用
- *燃焼式脱臭装置・・・特になし
水を使用する脱臭装置は排水が発生致します。使用後の排水は条件によって処理方法が異なります。
何も処理せずにそのまま放流してもいい排水の場合はいいのですが、処理を行う際には費用が発生致します。
脱臭効果を維持し、排水量を低減できる方法を模索することでランニングコストを削減することが可能です。
(環境負荷の少ない消臭剤に変更、水循環量の増加など)
活性炭方式は臭気に合わせた活性炭の選定が重要となり、脱臭効果を上昇させることが可能となります。
効果が上昇することによって使用する活性炭量が減少し、交換頻度を下げ、ランニングコストを削減することが可能となります。
また、前処理をしっかり行う事でランニングコストを削減することが可能です。
粉じんが多い排気を活性炭で対策する場合、前処理を行う事によって排気中の粉じんを除去し、臭気以外の余計な物質を活性炭に負荷がかからないよう処置することで活性炭を延命させることが可能です。
吸着能力が残っている活性炭を粉じんによる目詰まりによって交換する余計なコストを削減することが可能です。
(前処理・・・粉じんの径、種類に見合ったフィルター等による対策など)
3)装置稼働による電気料金
脱臭装置を運用するに当たり、排気ファンやポンプなどにより電気を使用致します。
電機の使用量によってランニングコストが変動するため、電気使用量も脱臭装置を選定する上で必要な項目となってまいります。
排気ファンは処理風量が大きくなるとその分大きな排気ファンが必要になり、電気使用量も大きくなります。
また、脱臭装置の圧力損失が高い場合、損失分を見込んだ排気ファンの静圧を選定する必要があります。
静圧の高い排気ファンを選定する場合、更に電気使用量が増えるため、脱臭装置の圧力損失が低いとランニングコストに直結します。
脱臭装置に係るランニングコストは様々有り、イニシャルコスト(初期費用)の安価な脱臭装置を選定し、高額なランニングコストをかけて運用されている場合もございますのでしっかりとしたトータルコストを把握し、脱臭装置を選定される事を推奨致します。
④オゾン脱臭機について
1.種類
オゾン脱臭機(オゾン脱臭器)とはオゾン発生器(オゾン発生装置)を言います。小空間用から大空間用までたくさんありますが、オゾン発生器単体で使用する場合と、老健施設などで設置されているオゾン発生装置と濃度調整器や希釈ポンプを使用して各部屋へ配管し供給するシステムの2種類があります。
単体使用:例:剛腕1000FR
2.選定
単体で使用の場合、機種を選定するポイントは、オゾン発生量とオゾン回収機能に注目します。
オゾン発生量は、mg/hrで表示され、1時間辺り何ミリグラムのオゾンが発生できるかを表します。
大変種類は多く、車用や家電として販売されているコンセントに直接差し込むタイプの超小型の発生器は0.5~2mg/hrで、生活臭にある程度対応できるくらいの発生量です。(人体に悪影響はありません)
業務用でご使用される場合、小空間(100m3以内)なら500mg/hrあれば問題ないと思います。200m3以下なら1000mg/hrくらいでよいと思います。(必ず、無人空間で稼働させてください)
発生量が多いほうが脱臭時間を短くできますし、臭気が脱臭しにくい種類の場合や濃度が濃い場合には発生量が多いほうが効果が良いです。ただ、オゾンの力で脱臭するのですが、オゾン発生量が多ければよいというものでもありません、室内オゾン濃度が1ppm位になると危険な状態になるからです。弊社ではオゾン脱臭作業のオゾン濃度は1ppmを超える時もありますが、プロの作業員もオゾンの危険に対し十分な対策をしています。また、オゾン水はニオイ分子との接触効率が良いため使用可能な現場では頻繁に使用していますので、業務用の場合はオゾン水を作れる機種もよいでしょう。
ゆえに、200m3以下なら、オゾン発生量が1000mg/hrくらいで、オゾン回収機能付きが適用範囲も多く作業者にも安全な選択と言えます。(必ず、無人空間で稼働させてください)
弊社がお勧めする機種の一覧はこちらです。→オゾン脱臭機
オゾン回収機能は、オゾン分解触媒の活性炭フィルターなどを組み込んでオゾン発生が終わると一定時間ファンだけが作動して活性炭フィルターや分解触媒などを通過させてオゾンを分解して室内の残留オゾンを低減します。再入室するときにオゾン濃度が強くないので作業者にとって安全です。ただ、完全には分解できないので、換気(外気を取り込み室内空気の入れ替えをする)は必要となります。
配管システムは、オゾン濃度を確実に人体に安全な適正オゾン濃度にできるシステムしか採用してはいけません。安全なオゾン濃度は、日本空気清浄協会がオゾンを発生する器具による室内ガスの許容濃度(設計基準、暫定)(1967年)を最高
0.1 ppm 平均 0.05 ppmとしています。
オゾン濃度を正確にコントロールできないと下記のような作用で大変なことになってしまいます。
オゾン濃度(ppm) | 人に対する作用 |
---|---|
0.01~0.02 | 多少の臭気を覚える。(やがて馴れる) |
0.1 | あきらかな臭気があり、鼻やのどに刺激を感じる。 |
0.2~0.5 | 3~6時間曝露で視覚が低下する。 |
0.5 | あきらかに上部気道に刺激を感じる。 |
1~2 | 2時間曝露で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きとせきが起こり、曝露を繰り返せば慢性中毒にかかる。 |
5~10 | 脈拍増加、体痛、麻酔症状が現れ、曝露が続けば肺水腫を招く。 |
15~20 | 小動物は2時間以内に死亡する。 |
50 | 人間は1時間で生命危険となる。 |
オゾン曝露濃度と生理作用(日本オゾン協会刊行「オゾンハンドブック」による)
3.有人空間の脱臭
オゾンは強制酸化分解で脱臭(消臭)します。酸素クラスターイオンは人に安全な弱めの酸化分解で脱臭しますので、人やペットなど生き物がいる空間での脱臭は酸素クラスターイオンを使用するのが一番安全と言えます。